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姫 - ヒメバチ - 蜂

  • 南1-2ホール | O-05 (小説|SF)
  • ひめばち
  • 丸山弌
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 1,500円
  • 2025/9/14(日)発行
  • あらすじの前に……


    【思想強めなポエム】


     なんだか、消費をすることに慣れてきた。
     僕たちはこの世界のお客様だ。
     社会サービスが充実するにつれて、そんな錯覚に陥っているような気がする。近年はカスタマーハラスメントという言葉も生まれ、企業はお客様の過剰な要求に対し毅然と対応することが増えてきた。商品やサービスを消費する人たちに対し、感情までは提供しないという姿勢の表れだと思う。
    〝消費者〟たちは、常になにかを消費することで自身の感情を満たしている。それは読書だったり、音楽や動画だったり、お菓子だったり、時間だったり、異性だったり。特に無償提供されるものに対しては飛びつくように群がって消費を開始する。そして満たされなければ、時に罵倒を置き土産に、さらなる消費を求めてまた放浪の旅に出る。
     消費の狼煙は、反抗期からはじまると僕は思ってる。子供がアイデンティティを確立しようと必死に多感になる時期。自由に使えるお金は限られているけれど、欲しいものは無限に存在し、無償提供される親の感情をただただ消費することで、彼ら彼女らはその欲求を解消し、その苛立ち乗り越えようとしている。そして紆余曲折を経て、みな大人になっていく。
     ところが近年、大人になっても〝消費者〟から抜け出せない人が増えてきた。だれも『大人のなり方』なんて教えてくれない。でも、最近の社会は優しくなっている。だからそんな人でも社会で生存できるようになってきた。
     基本的に賢明な消費者は破綻を予期しているので、子供を欲しがらずLuupを乗り回す。けれどそんな大人がもし親になったとき『家族』はどうなるのだろう。子供は親を消費しようとする。でもその思春期の遥か以前から、親が子供を消費している。そして消費と消費がぶつかる時「子供が言うことを聞かない」と親は騒ぎ立てる。子供は親を避け、親以外の無償の消費に逃げていく。やがて子供は世界の果て――フォートナイトに辿りつく。或いは、同じ寂しい仲間たちと過ごし、地方各地に存在する〝トーヨコ〟やSNSで愛着をシャボン玉にして飛ばしていく。
     この作品は、そんな子供たちを「発達障害」と決めつけ、100%治療する未来を描く。


    【あらすじ】
     遺伝子修正パッチで発達障害が完治する時代。大学生珈亜(こーあ)は、パッチ治療中の女子中学生千桜と出会い、危うい同居関係となった。警察の介入後も二人の関係は続き、千桜は珈亜宅での生活を続けていく。千桜の主治医は、この状況に怒りを感じつつも千桜の安定を目の当たりにし戸惑う。一方、治療中である千桜の友人の錯乱を機にパッチ治療に疑問を持ちはじめ、やがて別人格が本来の人格を乗っ取る〈ヒメバチ症〉の存在を知り、その研究を決意する。非行少年の対応にあたる一人の警官も子供たちの噂からこの問題を知り、協力関係となった。また千桜の学校の養護教諭は、自身の息子の治療による変化と〈ヒメバチ症〉報道の狭間で葛藤し、校長と対立しながらも説明会で親のあり方を問いかけるのだった。


     4つの視点から物語を描く連作短編小説。 各章で雰囲気はガラッと変わります。 ノンフィクション気味のフィクションで、特に第一部はその傾向が強いです。日本のどこかで日常的に起こっている一片に創作を加えました。実在する事件団体人物とは一切関係ありませんが、類似性はあるかもしれません。

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