こちらのアイテムは2025/5/11(日)開催・文学フリマ東京40にて入手できます。
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佳日のほとりのうつわ

  • 南3-4ホール | せ-43 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
  • かじつのほとりのうつわ
  • 栗田真希
  • 書籍|B6
  • 40ページ
  • 500円
  • https://x.com/kuritamaki
  • 2025/5/11(日)発行
  • たまに、人生相談をされることがある。
    「自分を変えたい、なにか変化がほしい」というようなざっくりした悩みのこともあれば、「仕事を変えたい」という具体的な話のこともある。わたしが転職を重ねてきた人間だからかもしれない。
    わたしのアドバイスでいいのかな、と尻込みする気持ちを抑えて、「相手がわざわざ話してくれているんだから」と自分に言い聞かせ、じっくり話を聞く。だって、恋愛相談はほぼされないもの。

    人生相談をされたとき、よく最初にするアドバイスがある。
    「部屋を片付けて、いまの自分にとっていらないものを思いっきり捨てて、それからひとつ、好きなうつわを買うといいですよ」
    料理をしないなら、マグカップでもいい。花器でもいい。
    ひとつうつわを買うと、人は変わる。
    これは、わたしが陶磁器の商社で働いていたから、売りつけようとしていたわけではない。ただ、うつわの効能をよく知っているから、そう言っているだけなのだ。

    うつわは、すぐに生活を変えることができる道具だ。しかも、手にとってふれる。ものによっては、直接口をつける。とっても身近で、接触回数の多い道具。
    うつわ以外に「毎日ふれるもの」という条件だと、寝具を変えるのもおすすめではある。だけど大がかりになってしまって、いまあるベッドマットを粗大ゴミとして捨てなくちゃとか、枕は寝てみないと身体に合うかわからないとか、めんどうが多い。シーツだけ変えるにしても、部屋の面積として占める割合も大きいから、トータルコーディネートを考えると調和する色やデザインかといった部分も悩ましい。
    人生に悩んでいるときは、そこまでのことを考えるエネルギーが湧いてこない場合が多いような気がする。

    洋服を変えるのもすごくいいのだけれど、選ぶときに「自分がいいと思う」だけでなく「他人からどう見えるか」を気にしてしまうこともある。そういう外野のことは考えずに、自分が家のなかで毎日さわって使いたいものを選ぶということが大事だと思うのだ。
    しかも、うつわは割れなければ一生もの。数年のスパンで買い替えることが多い洋服より、いわゆる“コスパ”もいい(あんまり好きなことばではないけど)。

    だから、自分を変えたいなら、まずはうつわから、なんてどうでしょう。

    「転職したい」という悩みであっても、まずは生活を変えるところからはじめるのは大切なこと。焦りが大きいときほど、家ではひと息ついてほしい。
    自分のためにあたたかいハーブティーでも淹れて、ゆったりした「大丈夫の気持ち」で進路を考えるほうが、判断が#冴#さ#えるんじゃないかと思うのだ。

    佳日のほとりには、道具が、うつわがある。

    そんなふうに思うわたしと、うつわとの日々を書きました。


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