第三十回中原中也賞最終候補作品
私は私自身のまま氷になって、そのまま溶けてこの青い六月の空気になる。泣きながら帰った私のこと、あなたはもう忘れていいんだ。
離別を試みる過去は、どこまでもついて回るものである。捉えて離さない「幻想」に飲まれそうになりながら紡がれる言葉は、やがて「みらいのはなし」をし始める。
よく分からないままに産まされた肉片を愛せますか?身手に芽生えさせられた母性とやらを総動員して、愛だって。そんな薄っぺらい、枯れ葉みたいな言葉を白々しく吐けたのなら、ああ、お前、すごいね。神にだってなれるさ!
呪縛から解き放たれた詩人は留まるところを知らない。幻想に対して「マリアはいない」と言葉の切っ先を突き付ける彼女にとって、もはや六月は「亡霊」にすぎない。
執着、諦念、決断、そして前進!これらの全てが、美化されるわけでも、悲劇化されるわけでもなく、実体を伴った言葉で綴られる、高塚しい渾身の処女詩集。
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