難関理系大学へ首席で合格した高輪理人(たかなわりひと)は特別な歌声の持ち主・田端涼太(たばたりょうた)と軽音部で出会った。
涼太の歌声から心の声が聞こえた理人は巷で噂の【偏愛音感】を持っていることに気づかされる。
好きな人と両想いを示す【偏愛音感】だが、じつは前世から関わりのあった人を探し出す能力ではないかと発表され、大好きで仕方ない涼太と離れたくない理人は彼と生まれる前から関係があったのではと心を弾ませる。
出会ったときから両想いだと【偏愛音感】は示しているものの、お互いに想いを告げずに大学四年の夏を迎えた。
涼太がこっそりと就職活動をしていることに、別れの予感を察知した理人はSNSで知り合ったアリサと出会ってしまう。
顔を知らない同士で悩みを相談するうちに、彼女は理人の憧れであるギタリストといとこで、初恋だと知る。
悲恋同士で意気投合したふたりは「一日だけの恋人」として渋谷の夜じゅう「架空のデート」をするが、始発の電車で渋谷を抜け出すと隣にいた彼女はサヨナラも言わずに消えてしまう。
彼女を通じて、改めて涼太ではないとダメだと知った理人だが、彼の将来に自分が必要なのか思い悩み、気持ちは伝えぬまま卒業した。しかし離れて気づいたのは、「涼太がいないとダメになってしまう俺」。
世間が認める「パートナー」のかたちでなければ、幸せにはなれないのか?
名前のついた関係を超えた自分の「好き」をそれぞれが突き進む。
零れ落ちた大好きをふたたび手のひらに集める、癒しの深愛ストーリー。