商業出版のエッセイ集。
早くこんなところを抜け出して、誰も私を知らない場所に行きたい。そう思って18歳で上京した。魔法みたいに東京がすべてを解決してくれる気がしていた。
高層ビルも人混みもいつしか日常風景となり、待ち合わせ場所が東京の固有名詞というだけで光って見えた日々も過ぎ去った。思い描いていたよりは輝けていない自分がいる。東京には東京の残酷さがあって、けれど東京には東京の優しさがあることも知った。
平成の終わりから令和、そしてコロナ禍の東京。その様々な街で、起こったこと、考えたこと、思い出したことが、都心の路線図のごとく複雑に絡み合っていく。これはそんな私の個人的な記録だが、きっと見知らぬあなたの記憶とも、どこかで交差するだろう。
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