佐川春風は、探偵小説作家、森下雨村の別ペンネームであ る。雨村の故郷は高知県佐川町であるが、生まれ育った土地 を名字にして、そこに吹く春風をペンネームにしたのは、自 分が味わった佐川町の暖かくて穏やかな春の息吹きを作品に 現したかったのかもしれない。 今回紹介するのは、「奇怪な銃弾」「宝石を覘(ねら)う 男」「手紙の主」の三篇である。「奇怪な銃弾」は河合少年 探偵物語であり、河合少年の推理が冴える。「宝石を覘う 男」は秋山警部の意気込みが空回りする中で、探偵活劇の滑 稽な一場面を切りとっている。「手紙の主」は立花刑事の鮮 やかな逮捕劇が見物だろう。
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