-----試し読み-----
きっかけは会社の健康診断だった。
会社で行われる年一回の健診。いつも通りに苦手な採血で目を瞑ってがんばって、いつも通りにまっずいバリウム飲んでグルグル回されて、いつも通りに笑い上戸なおじいちゃん先生の問診受けて、毎年着実に増えている体重をネタにして終わるはずだった。
「あれっ、首のところ腫れているねぇ」首を診察したおじいちゃん先生の手が止まった。上向いて。正面向いて。つば飲んでみて。もう一回。
「やっぱり腫れているね。ちょうどそこに病院あるし、なんで腫れているか、一度調べてもらった方がいいよ」
健診の結果を出す時、紹介状も一緒に書くねといわれたが、そういや最近疲れやすいなぁと都合よく考えて、何だか具合が悪くなったような気になって、紹介状を待たずにすぐに有休を取って『ちょうどそこにあった病院』を受診した。後から知ったのだが、近くにあるからなんて気軽に紹介されたその病院は関東で甲状腺を診てもらうならココ、と真っ先に名前が挙がるような、甲状腺専門の有名な病院だった。
~中略~
甲状腺の手術を年明けに予約して手術前の検査などを受けながら少しずつ準備していたころ、今度は股からの不正出血が一か月ほど続いた。少し前からなんとなく生理が不調で、妙に量が少なかったり、長引いたり、逆に多かったり、すぐ終わったりと安定しない感じはしていたものの、年齢的にもまぁこんなもんでしょうと思ってたところでの不正出血。さすがに一か月も止まらないのはおかしい、何かが起こっていると感じて会社の近くにあるクリニックを受診した。
診察してくれたのはとても丁寧な女医さんだった。今までの受診歴などを聞いてくれて、ついでに子宮頸がんの検査もしちゃいましょうといいながら内診が始まった。
子宮頸がんの検査用に組織を採りますね、といわれて入り口付近を擦られる感触があった。それからすぐにエコーのカメラを入れられた。先生が入り口付近は問題ないですね、きれいですよと説明しつつカメラを奥まで進める。…と、卵巣を見た先生の言葉が詰まった。
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