文系の論文や本を読んでいると、そこには特有の文化があることに気づく。エッセイとも違い、もちろん小説とも違う独特のスタイルがあり、恐ろしいほどのクセがある。理系の論文を読む機会は少ないが、たまに読むとそのシンプルな記述に逆に新鮮さを覚える。
そんな文系論文のクセをぎゅっと凝縮したのがこの小著である。たぬき(著者の一人称)は論文も本もそれぞれ年間300本以上読む活字中毒なのだが、この読書経験が何かに活かせないだろうかと考えたときに、この『文系論文あるある』の着想を得た。
本書の目的は2つある。あ、やっぱり3つある。1つは、文系の人間たちに「あー、こういうの確かにあるね」と思ってもらうことである。勝手を知っているからこそ、本書で例示するあるあるに思わずクスッと笑ってしまうのではないだろうか。そして、あらためて文系論文のカオスっぷりを確認して、肩の荷を下ろしてほしい。「こんなにめちゃくちゃで何でもありな世界なのだから、もっと自由に論文を書いたっていいんだ」と感じてほしい。
2つ目の目的は、理系の人間たちに文系の世界を垣間見てもらうことである。先述の通り、文系の論文は時としてハチャメチャである。しかし、だからこそ表現できるものがあり、だからこそ辿り着ける学知があるということに多少なりとも同意していただければ、これほど嬉しいことはない。理系と文系が相補っていくことができれば、人間たちの文化は今よりいっそう豊かなものになるだろう。
3つ目は……3つ目は無かった。ごめんなさい。2つでよかった。
文系はものごとを3項関係で捉えたがる。ただ、この点を議論し出すと長くなるので、それはあとがきに回すことにする。まずは存分に文系論文あるあるを堪能されたい。
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