郊外の一軒家で暮らす幸せな家族は、それぞれの思いを抱えている。
ママの不足とパパの不安、長女の劣等感と次女の羨望。
平和で、幸せで、息苦しい。
真っ白な子犬の「わたげ」と暮らす家族が織りなす連作集。
リビングの四角い窓の外からは、きっとそんな景色が見える。
私はいつも、それを見ている。
望みをポスターに託して壁に貼る。
理想通りにはならないけれど、これでたいていの望みは叶えてきた。
完璧じゃない現実と理想の間で、私は不足を積み上げていく。(ママのポスター)
週末はワンオペ育児。男一人でもなんとかなるもんだ、と胸を張る。
在宅勤務も相まって、完成形の家庭はあっという間に形を変えた。
俺は、妻の空白を埋める存在なのか。(パパの山芋入りお好み焼き)
大人が選んだセーターは、おしゃれだけど毛糸がちくちくする。
いい子だねって言われると誇らしい。安心する。
その言葉がないと、わたしは息ができない。(長女のセーター)
シラサギには種類がある。
わたしはそれを、簡単に見分けることができる。
見ていればわかる。その場の正しい振る舞いだって同じだ。
お姉ちゃんはいつだって変わらない。
特別なお姉ちゃんとわたしが似ているなんて、もうだれも言わない。(次女とシラサギ)
囲もう。
家族の、平和で幸せな食卓を。(チップとデール)