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夏子さんと小川さん

  • 第二展示場 Eホール | お-33 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • なつこさんとおがわさん
  • カンナ
  • 書籍|B6
  • 46ページ
  • 300円
  • 2021/11/23(火)発行
  • 約13,000文字 すこしふしぎ系統の短編です。
    書き手がぼちぼち老眼のため、読みやすい大きめフォントになりました。
    ──────────────────────────────
    意識せずにいたものが、唐突に存在を露わにすることがある。
    視界には間違いなく入っていたのに、見えていなかったもの。
     一度意識すれば、それからは気になって仕方がないもの。
     目もやらずに通り過ぎていたこれまでが、どこか異常だったのではないかとまで思うもの。

    街並みに埋もれるように小さな看板を出している喫茶店の存在だとか。
     反射で映る自分の姿をちらりと見るだけだったショーウィンドウの中、季節に合わせ着替えるマネキンたちの足元に、いつも林檎が置いてあることだとか。
     通りの角の煙草屋が、一輪挿しに生けた野の花と、手指の関節二つ分ほどの小人の人形で、季節の物語を綴っていることだとか。

    ある春の日、満開の黄色い花に目を奪われてから、その庭の前を無関心に通り過ぎることが出来なくなった。
     花が変わり、季節が変わり、色彩が変わっても。
     薄く雪化粧を施されていてさえ、その庭にだけ日が射し込んでいるように見えた。

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