原題は『AUTHENTIC LIFE OF BILLY THE KID』(1882年)。パット・ギャレットによって発行されたビリー・ザ・キッドの伝記である。「ビリー・ザ・キッド、真実の生涯――南西部の無法者にして、その大胆不敵で血塗れの行為は彼の名前をニュー・メキシコ、アリゾナ、そして北部メキシコで恐るべきものにした」という副題が付けられている。 ギャレットによる序文に続き全23章と補遺から構成される。ビリーが英雄として祭り上げられる風潮に対抗して「真実」を伝えるために出版された。ギャレットはビリーを殺害した悪者だという評判が立っていたからである。悪評が立つのは保安官のギャレットにとって致命的な問題であった。まず保安官は選挙で選ばれる公職である。さらにギャレットの功績に報いるためのお金が募られていたという事情もあった。 著者はギャレットとされているが、実際は友人のアッシュ・アプソンが大部分を書いている。内容や文体からすれば、おそらく第1章から第15章までをアプソンが書き、序文と第16章以降をギャレットが書いたと思われる。それは文体の違いによって明らかである。アプソンは、ビリーの母と同じ下宿に住んでいたことがあり、ビリーの少年時代について知っていると述べている。ただビリー・ザ・キッドの幼少期に関しては史料がきわめて少なく、かなり信憑性が低いと考えられる。とはいえリンカン郡戦争の頃に関してはある程度、信頼できる内容だと考えられる。