こちらのアイテムは2023/11/11(土)開催・文学フリマ東京37にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京37公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

ドロドロ

  • 第二展示場 Fホール | し-72 (小説|戯曲・シナリオ)
  • どろどろ
  • 街の樹/藤原千代
  • 書籍|A5
  • 100ページ
  • 500円
  • 2023/1/15(日)発行

  • 地下鉄の風は、どうしてこうも強いのだろう。ホームで次の各駅停車を待ちながら、一人考えていた。男はこれから、なまず君に会いに行くという。東海道本線の地下深くを這う幻の地下鉄に乗って……(『予光』)

    私はただ歩くことにした。
    羽虫も飛ばない薄闇の道を、濡れそぼった鼠のように。こうして歩いていればいずれ帰り道が見つかるだろう。
    いつかの思い出せない夜の出来事。(『黒い赤ん坊』)


    【収録予定作品】
    〇掌編『黒い赤ん坊』(藤原千代)
    〇表紙イラスト(藤原千代)
    〇詩「もっとn+1であいろにー」(街の樹)
    〇戯曲『予光』(街の樹)
    〇グラフィックデザイン「延長線上には、星の誘惑」(街の樹)
    〇短編『さるわたし』(藤原千代)

    …and more…

     

    【抜粋①】(『予光』より)
    「あの、次の各駅停車は?」
    「わかりません。5分後かもしれないし、10時間後かもしれない、1年後かもしれない」
    「困ります」
    「でも、来ます。必ず来ます。絶対に。あなたが生きている内に」
    「それじゃ困るんです、いつ来るか教えてくださいよ」
    「待っていればいいんですよ、必ず来るんですから」
    「快速列車は、無慈悲な138億光年。膨張していく進歩のリズム。に、半音ずれているのが僕の心音……いつから、こんなに遅いんだろう」

    【抜粋②】(『どうぶつ的な、あまりにどうぶつ的なわたしは』より)
    「ねえ、聞いたよ。」
    「……聞きたくない。」
    「まだ何も言ってないじゃん。」
    「聞いたよって言った。」
    「じゃあ私が何言おうとしてるか分かるわけ?」
    「分かるわけ。」
    「あ、そう。」
    「ねえ、鵜飼くんと別れたって本当?」

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