紙の上に存する女に恋をした。
ある雑誌に載っていたただ三枚の広告写真の、モダンガールを気取った女が微笑みかけてくる。
その女と目が合ったが最後、俺の心はタチマチ盗まれたというわけだ。
女の素性は? 名前は?
俺は考えるでもなく女について夢想し、そしていつしか女と生活する。
絵描きの俺と、広告写真の女、友人の東家。
恋の夢想とその生活は時代を問わない。
大正末期に新時代が香る、独り善がり恋愛小説。
──妄想と現実に境を付けるな! 雑誌広告の女に恋をする仮想恋愛小説。
台風で増水した大川を眺めながら、このまま死んでしまえば棺に竜胆が入らないので、やっぱりやめようと思った。
──棺に入る花は竜胆が一等良い。それは私のものであっても、その女のものであっても。
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