【月からの男】
人の世を避け、ひとり月を眺めながら暮らす主人公のもとに、新月のような美しい男がやって来る。お茶を淹れながら聞く彼の身の上話は、あまりに悲しかった。 孤独な二人が紡ぐ、静かで穏やかなファンタジー。詩のよう・歌のような流麗な文体をお楽しみください。
【「茶ゴミ」のひと】
築ウン十年の単身者向け木造激安アパート。いつも大量の茶ゴミを捨てている「唯一の他の住人」を、密かにお茶仲間だと思っていた。ある日、大事にしていたのであろう中国急須と一緒に「手紙」のようなものが捨てられていて……。 彩 蝶衣作品の中では異色の、現代日本を舞台にしたミステリー風作品。Web小説ではやらない・紙ならではの作品です。作中の遺書は実際に書いたものを元にしています。
【お茶の精】
雪に埋もれ凍えていた、ひとりぼっちのお茶の精。彼を助け出した、高貴な殿方は言いました。 「礼には及ばぬ。寒い夜でも、こうして誰かと語らうときはあたたかい」 精悍な顔つきに滲む優しさ。服の着方を教えてくれたときの、美しく逞しい身体。お茶の精は初めて感じる胸の高鳴りに戸惑いながらも、「人間」である彼に惹かれてゆき……。 中国・清の時代と武夷岩茶・鳳凰単叢に着想を得た作品。元となった作品は、小説投稿サイトで公開しています。
【蓮のつぼみ】
内気な白蓮のつぼみは、とある僧侶に恋をしていた。彼と言葉を交わしたいが、花を咲かせなければ人の姿は得られない。
「おや、まだ咲いていないのですか」
彼の言葉に応えることもできずただ、焦がれるだけだったが……。
「擬人化」がキーワードな恋物語。オネエ言葉で騒ぐ紅い蓮・青い蓮が華を添えています。