第一章 広瀬川
夏の終わり、まだ陽差しはきびしいものの、風はもう肌にまとわりつかなかった。日を避けて自転車をひきひき広瀬川の遊歩道を下れば、詩碑はひんやりとたたずみ、ただ轟轟と響きわたる堰のかたわらに苔むした水車は沈黙している……
「コード・ブルー。繰り返します。コード・ブルー。五階西棟、五三八室。担当スタッフは至急対応願います」
天井に備え付けられた小さなスピーカーから、やや低音な女声が告げた。その下で、一人の女性患者がシーツで首を吊っていた。
――こーど、ぶるーって、なんだっけ……。
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