ひなびた町の、ひなびた商店街。仕事の帰り道、ショーウィンドウに並ぶ古いお面を眺めていた僕は、天狗の面の男に声を掛けられる。「あなたも、お面祭りに行くんですか?」
童の面をかぶった僕は、天狗の面の男に手を引かれて山を駆け登る。山の上では、思い思いの面をつけた人々が、屋台や盆踊りを楽しんでいた。
休みの日、僕は行先も決めずに知らない町を散歩する。ある探し物を求めて。
その日の散歩の途中、雨に降られて飛び込んだ古書店は、どこか普通とは違っていた。聞いたこともないような作家の本が並び、ネクタイねこが店主と話をしている。
世界のあちら側とこちら側。近いようで遠い、遠いようで近い、はてはての町の物語。
目が覚めたら、恐竜の少女はひとりぼっちだった。
星たちの墓場、星が生まれる場所、小さな人の暮らす小さな町。
初めて体を得たような感覚と、あるはずのない祭りの記憶を抱いて、恐竜の少女は一人で荒野を駆けめぐる。