食と性のミニコミ誌『食に淫する』。
食にまつわるフェティッシュなブックレビューとビジュアル、批評、エッセイなどを集めました。
第二号のテーマは「趣味と癖」、悪食、悪趣味、偏食に食物嫌悪など、「食」に対する過剰な欲望について取り扱います。パフェもあります。
レビュー:ロミ『悪食大全』/アラキミドリ『Junk Sweets』/斧屋『東京パフェ学』/樋上公実子『フルーツパフェ逍遥』/澁澤龍彦『華やかな食物誌』『快楽主義の哲学』
インタビュー:パフェ評論家・斧屋『パフェ・萌え・アイドル フルーツパフェのエロティシズム(上)』
寄稿:ぎんしょう『シュヴァンクマイエルのグロテスクな食のマニエラ』
堀千晶『蜜の供え物』
――「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう。」といったのはブリヤ・サヴァランだが、個人の食の履歴というものを審らかにしていくと、何を血肉に(あるいは脂肪に)してきたかというところだけではなく、そのひと自身の「欲望の作法」というべきものがあらわになる。欲求を超えた欲望。それは満腹というものを知らずにいるのであって、飢えを克服した人間の、むごたらしくも無邪気な食物とのたわむれは、洗練を重ね、度を越し、ついにわれわれがどういう人間であるかを語るに足る行為へと昇華させられた。
あらゆる食べものはすでに食べもの以上のなにかであるし、食事はもはや食事以上のなにかである。人間がもはや性器の結合の快楽だけでは飽き足らず、さまざまな工夫を凝らしながら自身の欲望を追及するように(その結果が変態性欲と呼ばれるものの一部である)、あらゆる食物があらゆる様式で、あらゆる肉体と精神の味蕾によって味わわれるべきなのである。そしてそれらはすべて、一個人の「欲望の作法」として等しく敬われなければならない。すべての客人に乾杯しよう。われわれはみな等しく、異常性欲者であり悪食家である。(まえがきより)