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鬼娘の百物語 人魚 テケテケ 大禿 がしゃどくろ

  • B-52 (小説|ホラー・怪奇)
  • おにむすめのひゃくものがたり にんぎょ てけてけ おおかぶろ がしゃどくろ
  • 久世空気 忌木一郎
  • 書籍|A5
  • 200円
  • 妖怪ショートショート集 2冊目
    文:久世空気 表紙・挿絵・カット:忌木一郎
     人魚 テケテケ 大禿(おおかぶろ) がしゃどくろ

    大禿(本文冒頭)

    小学生の頃同級生だったEについては私の人生にとって最大の事件だったといえる。 

     始まりは公園だった。私たちはその日のEの姿を見て呆れていた。Eは女装をしていたのだ。レースのついたブラウスに膝丈のスカート。色白だが到底女に見えないEがそんな格好をしてニヤニヤ笑っていてはじめは笑いをとろうとしているのかと思った。 

    「何だよその格好。気持ち悪いよ。笑えない」 

     友人と口々に責めたがEはニヤニヤするだけで弁明も何もしない。私たちは普段とは違うEの様子になんともいえない不気味さを感じ、何も言わなくなった。その日から何故かEは学校には来ないが公園や道端で女装して現れるようになった。誰かが何かの病気じゃないかと言い私もそう思っていた。 

     そんなEを見るようになって一ヵ月後、私たちの住む町が騒然となった。Eの死体が発見されたのだ。 

     地元の人間も普段使わない山道でEは首を絞められ殺されていた。Eの死体は一ヵ月くらい放置されていてひどく崩れていて、持ち物や服装でやっと身元が分かったらしい。なぜ誰も気づかなかったか、どうしてそんなところで殺されたのか、全国区のニュースでこの事件は大注目された。しかし私たち子供にとって事件の真相より女装したEのことが問題だった。Eは女装して現れた一ヶ月前にはすでに死んでいたのだ。そして事件発覚後Eは現れなくなった。これは私が通っていた小学校で上級生、下級生関係なく話題になった。ただ何故か大人で女装したEを見た人はいなかったようだ。 

    「あれってEの幽霊だったのかな。この世に未練があって現れたのかな」 

     口調は切なそうにしたが私はわくわくした気持ちを抑えきれずに母に話した。 

    「でも不思議だよね。なんで女装だったんだろう」 

     それまで相槌も打たずに洗濯物をたたんでいた母の無表情がきゅっと緊張した。 

    「何いってんの! そんな話は誰にもしちゃだめよ!」 

     それ以来、家でEの話をしなくなった。子供同士では何度も話題に上り、もう少し優しくしてやればよかったと後悔をしつつ、やはり時間が経つごとにこの事件を忘れていった。 

    (続きは本誌で)

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