作:永久
海辺に二人の女性が立っている。
彼女たちの吐く言葉は、波や風の囁きである。
波と風は、まだ見ぬ『蜃気楼』について思いを馳せる。
遠く、海の際、彼岸を渡って近づいて来るのは〈まほら〉。
夢と現を往ったり来たり、虚の舟に乗り、微睡み、やがて目を醒ます。
風と波は、ひとつの木箱を眺める。
『蜃』が眠っているという、中は見えない箱。
空想する。
蜃の大きさ、手触り、色、まだ聞いたことのない鳴き声。
同じものを見ているはずなのに、一人ひとり異なる形をしている。
それはまるで蜃気楼のように。
波は蜃について語り、風は木箱について語る。
此岸に姿を現したまほらは、再び海へ還ってゆく。
ゆっくりと、その輪郭を溶かしてゆく。
いとおし、海の、まほろばへ。
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本作は奥能登国際芸術祭2023で上演した作品の台本です。
令和6年能登半島地震をうけて、チャリティー動画配信も行っております。URLをチェックして頂けると幸いです。会場でも動画を販売致します。
劇団三毛猫座+熊田悠夢
「海のまぼろし」
上演日:2023/10/7〜8
上演時間:52分
上演会場:鉢ヶ崎海岸(石川県珠洲市)
出演:綾乃 大塚啓 柴田奈緒
美術:熊田悠夢(木彫作家)
演出:neco
脚本:永久