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華の休日

  • せ-28 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
  • はなのきゅうじつ
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 166ページ
  • 600円
  • 2023/5/21(日)発行
  • 半年間にわたる無職生活の末、転職した。
    しかし、気ままな生活は変わらない。
    同人誌を作ることにハマり、イベントに出て、ライブへ行き、推しの舞台を観る。
    オシャレなことも、かっこいいことも、なんにもしてない。
    ただやりたいことをやりたいときにやる、丁寧さのかけらもない暮らし。
    アイドルと好きなジャンルの話ばかり書いている、30代おたくのエッセイです。


    【試し読み】担当カラーベースで生きてきた女、パーソナルカラーを知る

     

     大人になってから久しぶりに会おうとする人間は、宗教かマルチ商法の勧誘の可能性が高いので注意するべし。そんな教訓がある。

     実際、Facebookを通して連絡をしてきた大学時代の知人男性がやたらと前向きな投稿や内実のよくわからないパーティの写真を載せ、妙に「感謝」しまくっていることに違和感を持ち、その人の投稿に写り込んだ背景から得られる情報や友人関係および同日にそのパーティに参加していた他人の投稿をネット上で調べあげたところ、実はマルチ商法のパーティだとわかったため誘いを断って事前に回避した、という経験を持っている。おたくは特定が得意なのだ。

     2022年の暮れ。高校の頃の友人から、久しぶりに連絡が来た。

     彼女から「サロン」という言葉が出たので、少し「おっ?」となった。

    「サロンでパーソナルカラー診断の勉強してるから、練習台になって」と。

     サロンって、あれでしょう? 会員制サイトとかで会費を払って情報を買って、あなたもその情報を売ってお金儲けをしましょう、みたいなやつでしょう?

     そんなとんでもない偏見を持っていた私は、実は少しだけ渋った。

     しかし、パーソナルカラー診断は受けてみたい。

     好きなメンバーの担当カラー(グループ内でメンバーごとに決まっている色)を選ぶことが多い人生だったので、自分主体で似合う色をよくわかっていない。ちなみにその色とは、内博貴のピンクである。衣装のTシャツで着ていたフューシャピンクの印象が強く、彼のライブや舞台への参戦服には、濃いピンクを取り入れることが多かった。

     普段着は一応、なんとなく「こういう色が似合う気がするな」と選んではいた。テラコッタ、ダークブラウン、ネイビー、ボルドーあたりが好きだ。しかし、前者2色はイエベ秋、後者2色はブルべ冬の色に該当する。コスメは圧倒的にイエベ系が似合うのでたぶんイエベ秋だろうと思って生きてきたが、客観的な裏付けがほしい。それに「意外とこういう色も似合うんだ〜」みたいな発見もしてみたい。

     何より、彼女は高校時代とても仲良くしていた友人である。ともに関ジャニ∞のファンでいつも一緒にコンサートに行っていたし、学校や職場などコミュニティが変化するたびに交友関係が途絶えがちな私にはめずらしく、数年に一度のペースでたびたび会っている相手である。

     私はほぼ毎年と言っていいほど「今年会った人の中で一番回数が多いの、関ジャニ∞だったな」と思うレベルで、友達と会うことが少ない。そんな中で「数年に一度会う」なのだから、久しぶりとは言っても結構頻繁に顔を合わせている友人なのである。

     これでサロン勧誘だったらどうしようか、と思った。

     頻繁(当社比)に会う友人を一人失うことになるかもしれない。

     たまたま別の友人に会う機会があってこのことを話したら「本当に練習台がほしいんじゃないの?」と言われたので、やっと決心がついた。以前のパーティFacebook感謝野郎の件があって、臆病になりすぎていたみたいだ。

     誘いに応じ、年の瀬のある日、呼び出されたのはマンションの一室だった。

     久しぶりに会った友人は、自分に似合う色やスタイルを理解しているようで、以前会ったときから雰囲気が変わっていた。めっちゃかわいくなってる!

     まずはパーソナルカラー診断について説明を受ける。似合う色やスタイルを選べばこんなに印象が変わるのですよ、と見せられた写真は彼女の師匠のビフォーアフター写真で、たしかにボーイッシュな過去の写真と、強いオンナ風の現在の写真では、大いに印象が違った。

     目の前で説明をしてくれている友人もまた、高校の頃のカジュアルな服装やアシメヘアーと比べると、淡い色の服にロングヘアで綺麗なお姉さん風になっているので、服装やメイクや髪型が与える印象ってすごいのだな、と思った。

     普段どんなところで服を買うか、好きな色は何か、などの質問に答える。「ピンクやな」と言うと「どういうピンク?」と掘り下げられたので、「内くんのブギTのピンク」と答えたら「あー、はい」と一発で通じた。無数にある色の中でたったひとつの色が、こんなに明確に口頭で伝わることがあるだろうか。そこいらのパーソナルカラー診断では不可能だろう。

     診断のあとは大きな鏡の前に座らされ、パーソナルカラー診断に入る。

    (続く)

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