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ディア・プロキシマⅢ(競空のジブラルタル)

  • E-13 (小説|SF)
  • でぃあぷろきしま(きょうくうのじぶらるたる)
  • 名江ゆうな
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 130ページ
  • 500円
  • 2023/9/10(日)発行
  •  本書は、プロキシマ社に世界各地から送られてきた様々な文書や絵などを、誰にでもわかりやすくかつ世界のどこにいても読むことができるよう編纂したものである。

     本書を読むにあたっていくつか注意事項があるため、この場を借りて説明をしていきたい。

      まず初めに世界観について触れておこう。

     西暦1914年、世界大戦が勃発するかどうかの緊張した時期に、世界各地を突如様々な天災が襲った。先進国の機能は麻痺し、発展途上の国はそのまま滅びてしまったところもある。雷、台風、火山の噴火、津波等、天災の種類を上げるとキリがない。

     人々は怖れを込めてそれらを「裁き」と呼ぶようになり、年号も「裁き」を境に「AJ」(After Judgementの略称。「裁き」以後という意)と呼ぶようになった。これは世界共通の年号である。

     産業革命を経て電力文化を作り続けていたイギリスは世界の最先端を行く技術力を持っていたが、「裁き」の轟雷により文化の機能が麻痺。

     電力文化は衰退し、電力に代わる新たな技術「巻車(ゼンマイ)」が開発された。

     「裁き」から20年後、本書はここから語っていくことになる。

     電力は使われなくなり、巻車文化が浸透し始めた世界で、人々は様々な出来事を目の当たりにする。本書を読み終えた後、あなたは必ずや何かを得るものだと私はここに断言したい。

     語る中で、登場人物の心境を描いた「VOICE」という頁が各所で登場するが、これは登場人物の心境を描くことでその人の価値観等をより深く理解できるものと考え、間章のような形で場を設けさせてもらった。

    「VOICE」を読み終えた後、あなたはおそらくその人物を見る目が少し変わってくるだろう。本書を手に取った別の人とああでもないこうでもないと語り合っても良いだろう。きっと新たな視点ができるかもしれない。

     長々と書いたが、まずは本書を読み進めてみてほしい。そして不明な点があればここに戻ってきて世界観の見直しと本書の読み方を確認してくれればと思う。


     今回の舞台はヨーロッパ南西、イベリア半島にあるスペインのジブラルタルである。


     ジブラルタルは南北に細長く伸びた半島であり、温暖な気候の亜熱帯。半島の中心に「ザ・ロック」と呼ばれる石灰岩地質の岩山があるのが特徴で、かつてはイギリスが占領下に置いていた半島である。

     しかし、「裁き」による暴風が起こり、イギリスとスペイン間で起こっていた領土問題は、暴風被害の復興作業のため一時停止。その後、巻車技術が到来した際に積極的に技術を導入したため、ジブラルタルは「裁き」以後、巻車製の飛行機械産業で世界的にも有名な場所となった。

    「ザ・ロック」に作られたコースをレースで競う「競空選手権」が半年に一度行われており、各国の技術者が渡来し、レースを見ようと観光目的で来る人も多く、現在のジブラルタルは競空選手権と飛行機械産業を中心に動く所と思ってもらって問題ない。

     本編はクリート・ウェルス・ジェインと専属メイドのネイチェル・スパンティニョースがジブラルタルへ入国したところから始まる。飛行機械産業の中心として栄え、競空選手権で盛り上がる雰囲気を、本書を通して味わってもらえれば幸いだ。また、プロキシマ社の調査業務関連に、将来大きく貢献してくれる人物も登場する予定だ。ぜひ彼の事も覚えてくれてくれると嬉しい。

     それではまた後書きでお会いしよう。

     

     あなたの隙間時間に、一掬いの充実と興奮を。


    (本編前書きより抜粋)

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