愛したいと思えたものを失った少年が、
今度こそ、愛を抱く。
――とまらない俺の熱を、お前に感じてほしいんだ。
リンクはツイッターに投稿したサンプルに飛ぶことができます。
脱走したアヒルを追いかけるお話と、二人が寮部屋でイチャついてるシーンより抜粋しております。両方とも500字程度です。
せっかくなのでカタログでは、どこにも公開していないシーンをサンプルとして上げようかと思います。
900字程度となります。
サンプルシーンに至るまでのあらすじ
猪梅宗紫(いのうめ そうし)は中等部から寮生活をしている。春休みもまだ明けないというのに、制服を着て、手ぶらで入寮してきた編入生の桑蚕純(くわこ じゅん)……そんなわけで、桑蚕の生活用品を揃えるために、二人は買い物へでかけることとなった。
「まだぁ? ちゃんと着れた?」
「おい、絶対変だぞこれ」
桑蚕はカーテンから顔だけを覗かせ悪態をついた。
「まあまあ」
そう言って猪梅は、カーテンをゆるやかに引き、二人を隔てるものはなくなった。
猪梅は桑蚕の頭のてっぺんからつま先まで、くまなく視線を這わせた。
「……想像以上に――」
変?
「かっこいい!」
「えぇ……」
桑蚕は思わず顔をしかめた。
「すごくいい! 似合ってる! かっこいい!!」
猪梅は有頂天にはしゃいで、続けざまに言葉を連ねた。
「どこが?」
「そんな謙遜しなくても」
なんでそうなる! 猪梅は的外れな解釈を信じて疑わず、にたついた視線を桑蚕によこしている。
「わぁー! とってもお似合いですね」
無遠慮な女の店員が、愛想のいい笑顔をふりまいて、どこからともなく湧いて出た。
桑蚕が少なからず警戒心を抱いていたのもおかまいなく、
「そうですよね」
と、猪梅は呑気に話しだしやがった。
「新作のロングコート、特に丈が長めなんですが、すっごい綺麗に着ていただけててぇ」
「えぇ、ヒールブーツも合わせてるんでかなりタッパも盛れてますし」
「いやぁ、背も高くてスタイルもすんごく良いですよね!」
猪梅と店員は、桑蚕を鑑賞物のように眺めながら感想を言い合っている。
客が通りかかるたび、こちらを視界の端にとらえては何かを耳打ちし合っていることを、桑蚕は見逃してはいなかった。変な服を売る店に集まる客もまたしかり。
桑蚕は美意識に自信があるわけでは決してない。だからといえど、友達である猪梅ならまだしも、見ず知らずの他人の分かり合えない価値観を聞いたり感じたりするのは、なんとも居心地が悪かった。
「……あのぉ、もしかして、モデルさんとかですかぁ?」
「違います」
降りかかる火の粉を冷ややかに払い落とす。
店員は焦りの色を取り繕い切れない様子で相槌をうって、それを最後に三者の間には沈黙が落ちた。
「そろそろ着替える?」
言葉を投じたのは猪梅であった。
桑蚕が頷いて、生じたタイミングを逃さず、店員もあたりさわりのない会釈をしながら店の喧騒に溶け込んでいった。
「ごめんね。勝手に盛り上がっちゃって」
猪梅は温かみを帯びた眼差しで桑蚕を見つめた。
「……なんで、謝るんだ」
桑蚕はまるで心当たりがなくて、困惑をにじませた。
猪梅は答えを探すように瞼を伏せ、視線を下げた。そうしてすぐに、再び目が合った。
「大切にしたいから」
「なにを」
「お前を」
サンプルは以上となります。
ザ・王道の、「モブ女の子に容姿をもてはやされる」的なワンシーンでした。
桑蚕と猪梅の2人が、寮部屋でイチャイチャしたり、アヒルのお世話をしたり、背比べをしたりetc……
""こんなに好きなのは、友達だから?""
さて、答えは出るのでしょうか……。
そして、桑蚕がどうして何も荷物を持っていなかったのか……、もう、言ってしまいますが、桑蚕には仄暗い事情があります。
二人の輝かしく楽しい日常。
快晴の向こうに、その目で暗雲立ちこめるのを見つけてしまってくだされば幸いです。
本書をお手に取っていただき、彼らが抱き合う、溢れる""好き""の正体をお確かめ下さいませ。
また当日は、本書以外にも、アクキーやアクスタ、シールなどのグッズ、無料配布イラストカードのご用意もございます。
賑やかなブースとなっているはずです✨️
ぜひ、お越しください。
こちらのブースもいかがですか? (β)
黒井吟遊堂 桃山学院大学文芸部 とよよん商会 ブランコの夢 Antic Pirates 咲くやこの花書店 創作project黒蝶の戯れ 灯舟舎 冨部久志 夕闇琥珀店