破壊者たち

• B-31〜32 (小説|純文学)→配置図(eventmesh)
• はかいしゃたち
• 五十嵐勉
• 書籍|四六判
• 247ページ
• 1,600円

• 広島へ原爆投下に向かうB29の乗組員たち。殺戮の果てしない行為を辿るカンボジアの少年ポル・ポト兵。さらに平和な東京のマネキンを壊すアルバイトの中に潜む破壊の連鎖。破壊者たちの行為を追う新破壊小説。

  この小説には三つの流れがある。原爆投下とカンボジアの虐殺と東京での奇妙なアルバイトだ。どれにも破壊の大きな目的がある。B29エノラゲイ号に乗って原爆投下へ飛行する破壊者たち。カンボジアで殺害を重ねていく少年ポルポト兵、現代東京のマネキン破壊を行うアルバイター。東京の平和の下で行為も、大量破壊に繋がる心理構造が孕んでいるーーー協奏する三つの破壊の流れに、共通した心理構造を探って、現代の底に流れる破壊の衝動と、その果てにくる最期の時を警告する。
  人間の大量破壊の行動とその心理を、新手法によって描く現代への警告小説。
  
  五十嵐勉（いがらしつとむ）
  1949年　山梨県甲府市生まれ。
  早稲田大学第一文学部文芸科卒業。
  1979年「流謫の島（るたくのしま）」（講談社刊）で第二回「群像」新人長編小説賞を受賞。
  1984年から90年までタイ滞在。カンボジア難民を中心に東南アジアを広く取材。
  1987年「東南アジア通信」創刊。
  1993年「アジアウェーブ」創刊。
  1996年「アジア文学」創刊。
  1998年「緑の手紙」（アジア文化社刊）で読売新聞NTTプリンテック主催第１回インターネット文芸新人賞最優秀賞を受賞。
  2002年「鉄の光」（健友館刊）で第７回健友館文学賞大賞受賞。
  2005年「文芸思潮」創刊　編集長
  他の著書に「ノンチャン、NONGCHAN／聖丘寺院（ワットプノム）へ」「破壊者たち」「微笑みの国タイ」「小説の書き方」戯曲「核の信託」「ポツダム原爆投下命令」などがある。
  作家集団「塊」メンバー。