昭和六年、十二月。
葛葉敦は、新たな命を受けて東洋一の国際都市・上海に滞在していた。別れを告げぬまま環の元を去った彼は、心残りに胸を痛めつつも、目まぐるしく変わる情勢に日々忙殺されていた。
そんな彼の元へ、帝国陸軍の青年将校が中国人テロリストに襲われ負傷したとの情報が入る。駆けつけてみると、負傷した将校とは環の兄・孝徳であった。
孝徳を狙ったテロリストの正体。そして、敦の元にたびたび姿をあらわす謎の美女。
彼女の目的はいったい何なのか。テロに隠された驚愕の真実とは──。
ジャズと硝煙と阿片で混沌を極めた、一九三〇年代の魔都上海を舞台に、時代錯誤なオールドボーイが活躍する、『東京フラッパーガール』シリーズ完結編。