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魂の螺旋ダンス

  • う-01 (小説|純文学)
  • たましいのらせんだんす
  • 長澤靖浩
  • 書籍|四六判
  • 245ページ
  • 5,000円
  • marioさんのレビューより

        この本の眼目は、全人類のスピリチュアリティの本質をそれぞれの伝統に寄り添って、明快に開陳している点にあるだろう。
     その守備範囲は広く、先住民シャーマニズム、世界各地の国家宗教、仏教、キリスト教、イスラームなどの超越性宗教など、正確な文献に当たって論述しているその力は生半可なものではない。
     その上で著者はそのような優れたスピリチュアリティが源泉を離れ、固着化していくとき、社会的には多くの害悪を生み出すことについての鋭い問題意識を持っている。その典型が宗教の名のもとに行われる侵略や戦争、テロであろう。
     特に著者は、日本において、ほとんどの精神的伝統が、天皇制に巻き込まれ、先の15年戦争を支持する役割を果たしたことについて、深い痛みとともに考察している。文中にもあるが、それは著者自身が思春期の虚無感や懊悩から自分自身を解放してくれた同じ思想が、実は戦争を支える働きも歴史的に果たしてきたというショックと悲しみを起点としているのは、確かである。
     それがゆえにこそ、著者の論述は切実な問題意識と乖離することなく、真摯にどこまでも深く追求される。ノーテンキな精神主義に終わらない、このような総合的なスピリチュアリティの書を残念ながら私はほかに私は殆ど知らない。
     また本書は、ラジニーシ、オウム真理教、高橋弘二のライフスペースなどの「カルト」についても、シャクティパットやクンダリニー上昇などに関わる著者自身の体験も踏まえた上で、なおかつ、どこからどのように「狂い」が生じたのかに関して、鋭い分析を加えている。日本におけるカルト批判の書としても、類のないものとなっている。それは、「深い宗教体験」に惑わされず、違うことは違うと指摘する理性的な姿勢を保ちきったからだと言えるだろう。

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