――希い、ときに咽び泣き、
ひたむきにがむしゃらに追い求め、
平らかな静寂のなか手にしたそれは、
鳥のかたちに似ていた。
貴族の家に生まれ、何不自由なく育てられたリドゥリーは、サーカスの道化に憧れる変わり者。
自らの生まれをこの上ない幸運と理解しており、前途洋々たるも束縛を嫌ったリドゥリーは、騎士として独立して暮らすふたごの兄の助力を得て男装し、家出を試みる。
家名も親の七光りもすべて捨て去り、「ただのリドゥリー」となった自分に何ができるだろうか。職を見つけること、賃金を得ること、食べていくこと、どうすれば何の後ろ盾もない小娘に道が拓けるだろうか?
悩むリドゥリーが街で出会った赤毛の男・フィオリテ。彼は便利屋を名乗り、リドゥリーの家出を知って、見習いにしてやろうかと持ちかける――。
旅路で出会う人々とそれぞれの営みに接し、見聞を広めてゆくリドゥリー。
国境の街で最大の理解者であるふたごの兄、ラドクリフとジャンツァと再会した彼女は、思いがけず隣国との貿易摩擦や、国境を警備する騎士団の不正をめぐる一連の騒動に巻き込まれてゆく。
期間限定の家出を決行したリドゥリーのささやかな冒険譚、少女小説風味。
本編に加え、書き下ろしの前日譚を収録。
しょうもない4コマ漫画+SS掲載のおまけペーパーつきです。
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