- 救済の強烈な光と、その光が照らさなかった闇の話。
(「吸血鬼作品集 VIAGGIO NOTTURNO」に寄稿した「太陽の残り滓」再録などを含む、幻想小説集です。)
【収録作】
・エクピュローシス
・桃膠
・墓碑銘
・往く春
・太陽の残り滓
【バイロン本社から、ここがお勧め!!】
縦横に思索を広げ、無尽の世界を表現する海崎たまさんの短編集。一言で表現すると、凄いよ。
「エクピュローシス」
ある者を罵倒したことにより永遠に呪われた「私」。あらゆる凄惨と破壊を視た「私」にもたらされる、再会。永遠の終わりに炎上する世界。
「桃膠」
亡くなった姉の葬儀。郷里の習俗に抱く微妙な違和感。そしてなにも言わずに逝った姉が秘めてきたもの……
「往く春」
この作品集のなかではもっとも研ぎ澄まされた作品だと思う。
歌舞伎役者、舞台のうえで行われる女殺し。殺し合う兄弟。芸に邁進することでしか叶わない「家族」の、凄絶で美しい、永遠と一瞬のなかに留められた「春」の物語……
「墓碑銘」
何度読んでも1ページ目の「唐揚げの化石」で笑ってしまう……人類とともにあった「トリカラの歴史」。その研究に打ち込む男の生と死。読後、男の姿がありありとまなうらに浮かぶ。笑いながら読みはじめ、いつのまにか(なぜか)真顔になって読み終わる謎の作品。
「太陽の残り滓」
この作品を、私が編集したアンソロジーに寄稿していただいたのは、私の自慢のひとつです。改稿前と雰囲気が変わっているので両方とも読んでいただきたい。
南アメリカ、スペイン帝国とインカ帝国、邂逅の悲劇。
民衆の苦しみのなか、見え隠れする「吸血鬼ピシュタコ」とは?
善と悪、生と死、それが「ある」というスタンスでありながら、個々の人生のなかでは割り切れないものをそれぞれに抱えている……海崎さんの「在り方」が遠くに透けて見えるような作品集です。
重ねて言いますが、傑作だと思います。