こちらのアイテムは2022/6/19(日)開催・第七回文学フリマ岩手にて入手できます。
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  • E-08 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • へへ
  • へにゃらぽっちぽー
  • 書籍|A5
  • 142ページ
  • 300円
  • https://twitter.com/Henyarapo…
  • 2022/5/29(日)発行
  • へにゃらぽっちぽー兄さん、へにゃぽちゃん、わるいひと、石職人さん、ぼんさいのひと、フラミンゴさん、人魚さんなどの方々がでてきます。こんにちはこんにちは。
    短編「おしゃれなコーヒー屋さん」は、スターバックスコーヒーアンソロジー『さめない』寄稿作です。
    『へへ』は8冊目のへにゃらぽっちぽー短編集でありますが、どの本のどのお話からでもゆかいゆかいと読むことができるのです。へにゃらぽっちぽーを存分におたのしみくださいませ。


            目次

    覆面                  5

    石職人                33

    シャトーブリアン           41

    あな                 57

    ばんざい               72

    運動会                74

    へにゃらぽっちぽー動物園       87

    おしゃれなコーヒー屋さん      120



         ~試し読み~


     石職人


    「職人の朝は、石からはじまる」

    「ごしごし、ごしごし」

     なんですかこれは。

    「ぽぽぽー!」

     へにゃらぽっちぽー兄さんがテレビにむかって叫んでいます。

    「石は、石なのだ」

    「ごしごし、ごしごし」

     ナレーションが進んでいきます。

    「へにゃらぽっちぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     このひとはしずかにみることができないのでしょうか。

    「へにゃぽ……にゃぽ? にゃぽぽ?」

     どんな番組なのでしょう。へにゃぽちゃんは兄さんにたずねます。

    「ぽっちぽ! ぽっちぽ!」

     これです。

    《石とわたし 〜職人は石になる〜》

     ちょっとよくわかりません。

    「ぽ! ぽぽぽ! ぽっちぽ!」

     石職人になりたいのです。あこがれます。

    「ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」

     弟子入りをしましょう。あたまから湯気を立てています。やる気があります。

    「にゃぽ、にゃぽぽ……」

     よくわかりませんが、いきなり弟子入りをおねがいされたら職人さんも困ってしまうのではないでしょうか。


    「にゃぽ……」

     そもそも石職人のひとはなにをしているのでしょう。

    「にゃぽ?」

     石を彫ってなにかをつくるのでしょうか。

    「ぽっちぽ!」

     ちがいます。

    「にゃぽぽ?」

     石を重ねてなにかをつくるのでしょうか。

    「ぽっちぽ!」

     ちがいます。

    「にゃにゃ……にゃぽ?」

     いったいなにをするひとなのですか。

    「へにゃらぽっちぽー!」

     みがきます。

    「ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」

     石職人さんは石をみがくひとなのです。


    「石の前には石があり、石の後に石があります」

     りっぱなひげをたくわえ、はげあたまを光らせているひとが、インタビューに答えています。このひとが石職人のようです。

    「石をみがくと、石になります」

     石にはならないと思います。

    「石ですこんにちは」

     ちがいます。

    「石から石に、そして石は石なのです」

     石をみつめながら話しておられます。

    「そうだ、石なのだ」

     ナレーションが、石職人さんのことばを引き継ぎました。

    「みがくのだ」

    「ごしごしは、もしもしではない」

     なぜかほこらしげなナレーターさんです。

    「ぽぽぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     もりあがってまいりました。

    「ごしごしごし!」

    「ごしごしごしごし!」

     石職人さんがおおきな石をごうかいにみがいております。おおきな石がぴかぴかになりました。

    「ごしごしごしー」

    「ごしごしごしごしー」

     石職人さんがちいさな石をゆうがにみがいております。ちいさな石がぴかぴかになりました。

    「ごしごし」

    「ごしごし」

     石職人さんがそこそこの石をそこそこにみがいております。そこそこの石がそこそこぴかぴかになりました。

    「ぽっちぽ! ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」

     すごいなあすごいなあ。さすが石職人さんです。

    「にゃぽ……へにゃぽ……」

     わかりません。


    「弟子入りをしたいひとは、わたしの家にきてください」

     ふんどしをきりりと締めた石職人さんが、にこにこと視聴者の方々に呼びかけます。

    「ぽぽぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     走っていきました。



    「石です」

    「石なのです」

    「みがきます」

    「へにゃらぽっちぽー!」

     弟子入りを志願するひとたちが集まっています。

    「ではみがきましょう」

     石職人さんが音頭をとります。

    「みがきましょう」

    「みがきましょう」

    「みがきましょう」

    「ぽぽぽー!」

     ごしごし、ごしごし。


    「ごしごし、ごしごし」

     ごしごし。青く光る石がぴかぴかになりました。

    「ごしごし、ごしごし」

     ごしごし。赤みがかった石がぴかぴかになりました。

    「ごしごし、ごしごし」

     ごしごし。緑色の石がぴかぴかになりました。

    「ぽっちぽ、ぽっちぽ」

     ごしごし。石職人さんがぴかぴかになりました。

    「ぽぽぽー!」

     へにゃらぽっちぽー兄さんは、まちがえて石職人さんをみがいてしまいました。ごしごし、ごしごし。石職人さんのあたまは、ぴかぴかのてかてかです。

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