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文学フリマ広島8出店者
千美生の里(ブース: く-23〜24)
時間の証
こちらのアイテムは2026/2/8(日)開催・
文学フリマ広島8
にて入手できます。
くわしくは
文学フリマ広島8
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時間の証
く-23〜24 (小説|ファンタジー・幻想文学)
ときのあかし
野間みつね
書籍|A5
24ページ
100円
2025/1/5(日)発行
この品は、あのひとと過ごした
時間
《
とき
》
の証。
約七百年前に滅亡した、古代ダランバース魔道王国。その僅かな生き残り達の子孫である古代人の娘サラ=ヴァジリキと共に暮らした“稀代の天才魔道士”セルリ・ファートラムは、後に、彼女から学んだ“失われた”付与魔術を駆使し、古代王国時代の最高傑作とされる魔剣“ペン・トーンの流星剣”をも凌ぐ、究極の魔剣を制作することになる……
長編ファンタジー『魔剣士サラフィンク』外伝シリーズの掌編・短編の内、かつて各種アンソロジー等に寄稿した作品の再録を中心とした小冊子です。再版予定はありません。
=== 以下抜粋 ===
コトリ、と
机
《
き
》
上
《
じょう
》
に置かれた
木工
《
もっこう
》
細
《
ざい
》
工
《
く
》
に、銀髪の青年
魔道士
《
ソーサラー
》
は
怪
《
け
》
訝
《
げん
》
そうな目を向けた。
着彩はされていないが、
七弁
《
ななべん
》
の花を
模
《
も
》
した彫り物。女性の
掌
《
てのひら
》
に載る程度の大きさで、着衣の胸元に着ける飾りに出来そうな
雰
《
ふん
》
囲
《
い
》
気
《
き
》
だ。花弁の
僅
《
わず
》
かな
凹凸
《
おうとつ
》
まで写し取ったような細かな彫り技、丁寧に磨き抜かれた表面、巧みな木目の見せ方からすると、腕の良いドワーフ職人の手に成るものだろうか。
「サラ=ヴァジリキ、これは……?」
「
昨日
《
きのう
》
、五日の工芸市で買ってきたの。試験材料にする
為
《
ため
》
に」
サラ=ヴァジリキと呼ばれた黒髪の
女性魔道士
《
ソーサレス
》
は、黒い瞳に不思議な
微笑
《
ほほえ
》
みの色を浮かべた。
「試験材料?」
目を上げた青年魔道士は、その色に戸惑った。
古代魔道王国人の
末裔
《
まつえい
》
である彼女からは、
今迄
《
いままで
》
、様々な“失われた呪文”を授けられてきた。けれども、その
際
《
さい
》
に彼女が瞳に浮かべていた穏やかな微笑みの色と、今自分が見ている微笑みの色は、何かが違う。
何が違うのか考えようとした時、彼女が静かに口を
開
《
ひら
》
いた。
「……あなたに
付与
《
ふよ
》
魔術を
操
《
あやつ
》
る素質があるかどうか、それを確かめる為の」
聞くや、青年魔道士セルリ・ファートラムは、疑念も吹き飛ぶ歓喜に心身を
掴
《
つか
》
まれた。
付与魔術!
魔道
《
ソーサラーマジック
》
の学徒となって以来、心密かに
渇仰
《
かつごう
》
してきた、夢にまで見続けてきた魔道体系!!
物に魔力を付与する技で現代に伝わっているのは、一時的な強化魔力を
纏
《
まと
》
わせる簡易な呪文のみだ。永続的な魔力を持たせる“魔力付与”等の技は、古代魔道王国の滅亡と共に失われている。
共に暮らすようになって半年以上――遂に彼女は、往時の“蛮族”の子孫でしかない自分セルリに、失われた“魔力付与”の技を授ける決心をしてくれたのか。
……興奮の余りに灰色の瞳を
翠玉
《
エメラルド
》
の
彩
《
いろど
》
りに染める青年魔道士を見ながら、女性魔道士サラ=ヴァジリキは内心に
呟
《
つぶや
》
いた。
(この先へ進めば、もう、引き返せない)
───「試験」より
気になる!
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