舞台は今から約百年後の発展を遂げた日本国。
都道府県が解体し、各地は秀でた特色を活かして小国を次々と建国していった。
人工知能と共に生き、けれど日本の在るべき姿を忘れることなく暮らしている人々。
つつがなく穏やかに流れる、創作都市での美しい刹那を是非お楽しみください。
主要都市にほど近く、花の街として栄える国「花都李(あとり)」。
坂道の続く色鮮やかな美しい街では、
何よりも花を大切に慈しみ救いの象徴として捉えていた。
人は生まれてから死ぬまでを象徴花と過ごす。
その儚さに己の命を重ねながら夢を見る。
「春のなごり」
象徴花:桜・白木蓮・梅 ※出てくるのは桜のみです。
国内でも重宝されている老舗の花屋「ガーデンハナビシ」で働く異父兄弟の話。
店の看板桜が散ってゆくさまに思いを馳せる弟の万宵は、
毎年のようにその花びらの最期を看取っていた。
それは彼自身の中で昇華するためのある儀式でもあり、
兄もまた、その儚さに寂しさを募らせていた。
春の陽気の中で、穏やかで静かに紡がれる朝のちょっとした話。
この物語は今後シリーズ小説として文庫本での製版・販売を計画中です。
今回の本は各登場人物の番外編にも似た、導入部分となります。
少しでも物語の雰囲気を楽しんでいただいた上で、
完全版を気長にお待ちいただければと思います。