凍てつく過去も記憶も、俺の炎で溶かしてやる。お前を愛したのは俺だけだ。
今から二ヵ月ほど前。雪の国で忌み子として幽閉されていた王女セシルを娶ったのは、炎の国の第一王子アルベルトだった。稀代の炎使いと畏怖されるアルベルトの姿に憧れを抱くも、彼から愛情を感じることはなく、セシルはただ飾りの妻として鬱々とした日々を過ごしていた。
そんなある日、セシルは庭園で倒れてしまう。不気味な既視感。覚えのない記憶の断片。穏やかに微笑むアルベルトの残像。 冷酷な瞳の奥、静かに燃える炎の裏側に隠されていた真実を知った時、セシルは何を思うのか。
猛る炎と儚い雪が織り成す大人のロマンスファンタジー。
これは絶望の果てに掴み取る、優しいだけじゃない愛の物語。※本編の一部に性暴力・過激な暴力表現が含まれます※
【web説投稿サイトにて公開していたものを加筆修正しています】
【2025年ノベル大賞4次選考通過作品。悔しいので自分で本にしました!】
【こんな方におすすめ】
・しっとりとした大人の恋愛が好きな方
・魔法の出てくる世界観が好きな方
・甘いだけの恋愛ものに飽きた方
・すれ違い政略結婚ものが好きな方
・超がつくほどシリアスな展開が好きな方
・しんどい展開から迎えるハッピーエンドが好きな方
・許容範囲の広い方
・物語をフィクションとして楽しめる方
【試し読み】
(注:内容はアレですが官能小説ではありません)
早く終わればいい。
逞しい腕に抱かれながら、セシルはただ、この痛みしか与えられない行為が終わるのをひたすらに待ち続けていた。
夜の帳が降りた薄暗い室内。暖色の灯りに照らされた夫婦の寝室に響くのはベッドの軋む音と、獣のように獰猛な息遣いだけだ。体を揺さぶられることで生理的に漏れるセシルの声は嬌声というよりは呻き声に近い。
欲望をぶつけられるだけの好意に、セシルの目尻が熱く滲んだ。
愛し愛され、生涯を共に歩むことを誓うのが結婚だと思っていた。
愛する人と肌を重ねることは、甘く幸せな行為だと思っていた。
けれど現実は、セシルが思い描いていたものと、どれもが遠く離れていた。
体の上にのし掛かる男の律動が激しさを増す。終わりが近いのだと安堵した瞬間、痛いくらいに体を抱きしめられた。その熱く激しい抱擁に、愛されていると勘違いしたのは初夜だけだ。あれ以来、何度体を重ねようと、セシルはもう二度と夫であるこの男から愛を感じることはなかった。
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noteバージョンはもう少し長めに試し読みが出来ます。
こちらからどうぞ。
https://note.com/fond_arnica7229/n/n23eaeac6497f?app_launch=false