こちらのアイテムは2024/10/27(日)開催・文学フリマ福岡10にて入手できます。
くわしくは文学フリマ福岡10公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

自我(ギガ)-零-

  • E-21 (小説|SF)
  • ぎがぜろ
  • <七味唐辛子>
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 92ページ
  • 500円
  • 2024/10/27(日)発行
  • 自分が産声を上げて助産師に取り上げられた、分娩室の風景を覚えている人間は誰もいないだろう。 皆、それぞれに原初の体験、原風景があるが生まれた瞬間などは誰も覚えていない。 そんなわけで、俺についても自分が覚えている一番古い思い出というのも、そんなに生まれてすぐのものではなかった。   人の「心」というものを初めて意識したのが俺の原風景だった。 ……俺の両親はあまり仲が良くなかった。まだ幼子の俺の目の前で仲違いすることは珍しくなかった。   「怒り」   「恐怖」   幼稚園児だった俺は落雷のように響き渡る怒号を避けるようにテーブルの下に隠れて自分の頭を抱えて身を隠していた。原初に触れたのは人間の「負」の感情。   塾にも通わせてくれて、高校進学も大学進学も許してくれた両親には感謝している。しかし、就職して自分自身で生きていける頃にはもう会いたくない、と思ってしまった自分がいた。   そんな家庭環境の反動で鬱屈として根暗な人間だった俺は、当然のようにいじめの対象になった。スポーツに関心がなく、休み時間に本だけ読んでいるような小学生は格好の餌食だっただろう。ほぼクラス単位で無視くらいは優しいものだ。  「まるでロボットみたい」   よく、そう言われた。いじめられて、愛想笑いをするとまたいじめがひどくなる。最終的に俺は考えるのをやめた。小学生にそういう表現は通じないだろうが能面のような顔をしていたんだと思う。表情を顔に出すとその分だけいじめが強くなるのを分かっていたのだ。   俺が不登校になったり、病んだりしなかったのは俺の大事な幼馴染みがいたからだ。 
    「黒沼! 一緒帰ろうぜ!」 「……お前本当に双子の姉ちゃんと違ってガサツだよなぁ……」 「ちげーって! 黒沼が暗ぇーからそう見えるだけだって!」 「そうかなぁ……」
      そう言って御堂みちるはからからと笑っていた。 
     文庫サイズ、カバー付き、92P(あとがきなどを含む)。  原則これのみで話が独立している、自我シリーズの世界観を共有したお話になります。  自我(ギガ) https://www.pixiv.net/novel/series/9567761
     続きました。 まだ続きます。 2024年10月27日(日)に開催される文学フリマ福岡10で頒布予定です。
    BOOTH
    https://nanamitohgarashi.booth.pm/items/6178828

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