このイベントから初公開の新刊。『ナツユ探偵事務所』の続編です。
真面目な霊能力者・夏虫と、真面目じゃない霊能力者・露草が、協力して怪奇事件に立ち向かう、ミステリーテイストのお話です。
以下、各話のあらずじになります。
鈴の巻 (二話)
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いつもは、居心地の良い喫茶店として評判なのだろう。しかし、今のこの店は、とても居座れるような場所ではなかった。
「いるね」
露草が宙を見つめて、断言する。
俺には、はっきりとその霊の姿は見えない。しかし、店内全体に重く黒い靄が漂っているのを感じた。
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一話目『猫の巻』以前のお話。この話から読む人でもわかりやすいように少し加筆しています。
湯の巻 (三話)
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二階に上がると、向日葵と萌黄がある部屋の前で立ち尽くしていた。
「どうした?」
「あ……あれ……」
露草が向日葵に尋ねると、向日葵はその部屋の奥を指さす。
一人の男が、口から血を流し、倒れていた。
まるで、死んでいるかのように。
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宿で起こった『殺人事件』の話。
茜の報告 (番外編)
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水柿町に巡査として人事異動が決まったとき、前の派出所の先輩から妙な噂を聞いた。
「茜、気をつけろよ。水柿町はよく出るって話だ」
「出るって、何がですか?」
買ってもらった熱い鯛焼きを頬張りながら、そう聞き返すと、先輩はニイッと不気味に笑い、顔の前でふらふらと両手を下げた。
「幽霊」
「またまたぁ、冗談はよしてくださいよ~」
そのときは、先輩なりの餞別だと思って、笑い飛ばすくらいには気にしていなかった。
――ところが調べてみると、どうやら冗談でもないらしいのだ。
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書き下ろし番外編。
警察官・茜が主人公です。
付録には例によって登場人物二人の詳細設定がつきます。
今回は茜と烏羽です。