牧野魔太郎は、死んだ。
あまりにも呆気ない人生の幕切れに悲嘆する間もなく、とある異世界でホークショー男爵家の三男・アーサーとして転生していた。
新たな人生を送れると思いきや、現実は甘くない。ネグレクト気味の両親に、互いに無関心な兄弟たち。現代的娯楽などは当然なく、中世ヨーロッパ風の生活は何かと不便である。おまけに、他の転生者たちが繰り広げる「テンプレ物語」に巻き込まれるかもしれない日々。
そんな中、父親が勤めている公爵家の令嬢・クラリッサのウィッピング・ボーイとなる。
「あなた、転生者ですわね?」
公爵令嬢は知識欲の塊であり、転生者たちの前世に興味津々。話の通じるアーサーを助手として振り回していく。彼女の天才ぶりに感化されたアーサーは、次第に今世を楽しむようになった。
そんなクラリッサに、婚約者である王太子から宮殿での晩餐会とパーティーの招待状が届く。そしてパーティーの最中に突きつけられたのは突然の「婚約破棄」。理由はなんと「毒物の購入容疑」だった。クラリッサの滞在する部屋を家宅捜索しようと行ってみると、そこには毒殺死体があった。
現代人顔負けの教養と圧倒的な観察眼で真実を見抜くクラリッサと、前世の記憶を頼りに異世界テンプレを皮肉るアーサー。二人の主従が繰り広げる、新感覚アンチなろうミステリー。