『スケッチ』は、大学で出会った二人の、出会いと別れ、待つことの意味を描いた長編小説です。
2024年のお正月に最初のプロットを書き、それから少しずつ書き進めてきました。2026年に入ってから、改めて奏と玲那の物語を書き直し、一冊にまとめました。この作品で書いてみたかったのは、今のように、いつでも簡単に誰かと連絡を取り合えるわけではなかった時代の物語です。
人を待つ時間。会えない相手のことを考える時間。返事がないあいだに、自分の気持ちが少しずつ変わっていくこと。
今は、少しでも時間が空くと、つい携帯を見てしまいます。誰かとすぐに連絡が取れる便利さがある一方で、何もせず、ただ誰かを想って過ごす時間は、少なくなっているようにも感じます。そうした時間のなかで、人は何を考え、どのように気持ちを変化させていくのか。
また、誰かと出会い、たとえその人と会わなくなったとしても、一緒に過ごした時間は、その後の人生のどこかに残り続けるのではないか。そんなことを考えながら、この物語を書きました。誰かを想うことや、待つことについて、読み終えたあとに少し考えてもらえる一冊になっていたら嬉しいです。