文芸サークル開式堂 十周年記念【呪い】と【十年】をテーマにした、七編のショートホラーアンソロジーです。 呪われし華/嘉藤 千代 ーー「ここに入ったということは、貴女も御華母堂様にお会いしたくなったのね」
怪談/円件 ーー【嘘から出たまこと】意味:始めは嘘のつもりだったことが、結果として、意図せず真実になること。
老人の夢の頃に思い出してください/円件 ーー「大丈夫、大丈夫。これは私の作り話だから」
永和羽町でおきたこと/サツキ ーー永和羽であった変な話か……ああ、一つだけ知ってるよ。君、服の墓場って知ってる?
ナイトクルーズ・ディナーショウ/川渡 六文銭 ーー「お前たち全員に呪いをかけた。最も恐ろしい話をした人間だけを生かしてやる」
理不尽/川渡 六文銭 ーー『あのさ。物置で何度か猫を殺してたの、気付いてた?』
してはいけないわすれもの/川渡 六文銭 ーー「お忘れ物はありませんか?」声は足の下から聞こえました。少女が返事をできずにいると、「お忘れ物は、ありませんか?」と、声はもう一度尋ねました。 さあ、あなたにもお裾分け。 どうか必ず、●●●を使って最後までお読み下さい。 ------------------------------------------------------------
文芸サークル 開式堂 川渡 六文銭様
ホラーアンソロジー『じゅねんじゅうねん』への参加作品を提出致します。 参加作品は、以下のルールを遵守しています。
・短編ホラー小説であること ・『十年』と『呪い』をテーマにした作品であること
不備などございましたらすぐに対応致しますので、お気兼ねなくご連絡ください。 以上になります、何卒よろしくお願いいたします。
文芸サークル 開式堂 川渡 六文銭
メールには必ず、開式堂に所属する作家達のペンネームが書かれていた。しかしこちらから連絡をとると、全員が原稿の送付を否定したのだ。 そんなものを書いた覚えはない。 企画名に聞き覚えがない。 そう言って、露骨に気味が悪そうにはしないものの、気遣わしげな沈黙と共に私の様子を伺うのだ。だから私もそれ以上の追求が出来ず、最も深い引き出しに只々、目を通した原稿を重ねていくことしかできなかった。 何もできなかったのだ。燃やすだとか、引っ越すだとか、封も開けないだとか、仮にそういった何かを中途半端にして、問題なく解決するとは思えなかった。それよりもポストの向こう側には、原稿とメールのスクリーンショットを家庭用プリンターで一枚ずつ印刷し、それを机の上で揃えて発送を整えた人が存在するはずで、それが私の反抗めいた行動を知ったらどう思うかなど、想像するのも恐ろしかったのだ。 そのように、今日まで目を逸らし続けて。 逃げて逃げて、耐えて耐えて。逃げきれもしないのに、耐えられもしないくせに。 逃げて、耐えて、挙句にとうとう、最後の原稿が届いてしまった。
二〇一六年に最初の原稿が届いてから、今年で丁度十年目の冬を迎える。 締め切りだ。 十年に渡り積み上げた原稿達が、産声を上げる為大きく開いた口に並ぶ乱杭歯が、影を落としすぐ目の前に迫っていた。
じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん じゅねん、じゅうねん、じゅねん、じゅうねん
じゅねんを、じゅうねんを、 積み上げた呪念十年を、どうか慈悲深いあなたにお裾分けさせてください。