「たとえあなたが人でなくとも、俺はあなたを愛している」
千年ものあいだ、人々の願いを聞き届けてきた一本の桜。
その古桜には、人の姿をした美しい精が宿るという。
ある満月の夜、仕事帰りの柚木が山道で出会ったのは、淡い桜色の髪を持つ、ひどく艶めいた一人の男だった。
名前を持たず、歳を取ることもなく、幾千もの春を見送ってきた男。
柚木は彼に「サクラ」という名を与える。
何度も山へ通い、言葉を交わし、同じ月を見上げるうちに、二人の間には静かに恋が芽生えていく。
けれど、柚木は人間で、サクラは桜の精。
人間には終わりがある。
千年を超え生きるサクラにとって、愛する人との別れは何を意味するのだろう。
たとえ同じ時を生きられなくても、お前のそばにいたい。それはそれは切ない柚木の願いだった。
人と人ならざる者。決して同じ命を持たない二人が選ぶ愛の形とは。
千年桜×人間。月夜と桜に彩られた、切なく美しい人外BL。