朝野レダ
もし、大切な人からの返信が、必ず8分後にしか届かなかったら。
おはよう。
今日もお疲れさま。
今、何をしているの?
何気ない一言にも、返事を待つ時間がある。
どれだけ急いでも、どれだけ会いたくても、その8分だけは縮められない。
地球から1億5000万キロ離れた宇宙。
そこに停泊する移民船と地球をつなぐのは、メッセージアプリLAG8。
地上局で働くシズと、宇宙船の整備士シェティ。
二人は毎日、8分の時間差を挟みながら言葉を交わしている。
今日の仕事のこと。
飲んでいるココアの温度。
相手に聞いてみたい、ほんの些細なこと。
たった一通の返信を待つ間に、期待が生まれ、不安が膨らみ、伝えたい言葉が増えていく。
すぐに返事が届くことは、幸せなのだろうか。
待たずに済むことは、本当に便利なのだろうか。
私たちは、いつから待つ時間を無駄だと思うようになったのだろう。
言葉が届くまで8分。
返事が戻るまで、さらに8分。
二人の距離は変わらない。
通信速度も変わらない。
それでも、待つことの意味だけが少しずつ変わっていく。
『LAG 8 ラグエイト』は、宇宙という遠い距離を舞台に、言葉を待つ時間と、そこに生まれる恋心を描いたSFラブストーリーです。
読み終えたとき、いつもの通知音が、少しだけ違って聞こえるかもしれません。