これは「ニュース」なのか。
桃の花やチューリップは咲き誇り、冷蔵庫が佇み、宇宙は膨張を続ける中で、家族が少しずつ減っていく。
一見すると普通の風景なのに、読んでいるうちに、どこか世界の見え方がずれていく。
2003年に俳句を始めてから二十余年にわたる作品をまとめた第一句集。
◆自選十句
石仏の簡単な顔桃の花
球根の数だけ咲きぬチューリップ
草花のしづけさを持ち冷蔵庫
米国の管理下といふ夏の空
君に逢ふため晩夏のドアいくつひらく
七夕や遠くに次の駅が見え
村の名も村議も消えて大花野
梨丸し銀河と銀河はなれつつ
粛々と家族は減りぬ畳替
宗教の思ひ出すこし冬林檎
◆プロフィール
谷 雄介 たに ゆうすけ
1985 年愛媛県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。現在、会社員。
第6 回俳句甲子園出場(予選敗退)。学生時代は早稲田大学俳句研究会、ワセハイに所属。「里」「ハイクマシーン」「トーキョーハイクライターズクラブ(THC)」などの同人活動を経て、2013 年「群青」創刊に参加。2024 年より編集長。