「日常」には、人を油断させる才能が備わっている。
平然とした顔で、特にこれといった気配も放たず、いつのまにか隣に立っていたりする。
そして、そんなふうに振る舞われても、こちら側もすでにまんまと術中にはまっているから、マヌケな顔でもしてボケ〜としているのである。
だが、そんなふうに馴染みきっているはずの「日常」が、もしも思っているものと全然ちがっていたとしたら。
何も気にならなかったはずの存在が、急に恐ろしいものに思えてくる。さっきまで平然と隣に立っていたものに、ギクっ!とさせられるのだ。
馴染んでいれば馴染んでいるほど、その“ギクられ幅”は大きい。あたりまえの顔をしてそこにあった「日常」に、突然裏切られる。その揺さぶりは、もはや立っていられなくなるほどである。
思わず、【疑日常】にしがみつくしかなくなるほどに。
「日常」に囲まれて過ごしている自覚のある人には、この本はシートベルトとして機能するだろう。
今のうちから着用しておくことをお勧めする。