【サンドボックス・フレッジリングス】
四十九日にカラスが鳴いた。
「ねえ、ナナおじちゃんってパパのこと好きだったんでしょ。なんで子どもつくって私と結婚させようとか考えなかったの」
そして四十九日から二年九カ月経ったある日。大学生時代からの親友、塩田明直の忘れ形見である一人娘ヒカリにそう切り出され、彼女にセクシャリティを開示せず生きてきたつもりの七嶋夏生は、動揺を隠しつつも大人として彼女を諭す。
学業、結婚、就職、離婚、独立……人並みに人生を生きてきても、人より苦労したという自負があっても、一緒にいようとして一緒にいても。男どうしに言葉はいらないなどというのが幻想だったってことに、どうしてあの頃の俺たちは気づけなかったのだろうか。
娘の言葉をきっかけに、夏生はおのれの密やかな恋を懐古してゆく。
きっと初めて告白するために。
伴侶でもなく、子の親でもなく、ただ親友として駆け抜けてしまった日々を、好きだった男の死後から振り返る、男の冠婚葬祭とカラスの巣立ちの記録。
太宰治賞2026 二次選考通過作品
こちらに大幅に加筆修正をしたものとなります。
・A6 全120p 本文115p
・特典としてステッカーをお付けします(2026年11月8日時点)
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