Petrichor
- 南3-4ホール | た-10 (詩歌|現代詩・散文詩)
- ぺとりこーる
- 花野わかれ
- 書籍|文庫判(A6)
- 60ページ
- 1,000円
- https://x.com/hanano_wakare
- 2026/11/8(日)発行
- この世界で私だけがいつか、懐かしくなる光景だった。
箔押し表紙の短編小説集。
sample
―――――
カメラロール
「なに撮ってるの」 「写真」 ぼんやりと口を継いだ答えに、千春が「そうじゃなくて」と声を上げる。彼女は行為の話をしているのではない。具体的な被写体の話をしているのだ。わかってはいるのだが、返事を間違えた。つい今しがたシャッターを切った、二重に重なった風景の、遠い方が俺を呼んでいる。もう一枚、切る。
……
―――――
朝が
朝の鳩は人間を下に見ているから、鳩を避けるようにして歩かなくてはいけない。うっかり蹴り上げてしまったり、うっかり追い回してしまったり、うっかり顔に突撃されてしまったり。鳩と私の関係は、大体そういった感じだった。
……
