こちらのアイテムは2026/11/8(日)開催・文学フリマ東京43にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京43公式Webサイトをご覧ください。

惨禍の上の箱庭

  • 南1-2ホール | O-65 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • さんかのうえのはこにわ
  • 時雨縹
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 50ページ
  • 0円
  • 2026/11/8(日)発行


  • ※無料配布です※
    【O-65】にて配布いたします。


     こちらは、【M-27~28】夜の底(斑鳩睡蓮様のスペース)にて配布している、残酷×美しい物語アンソロジー「夜の底から見上げる星は」の参加のため書き上げ、大幅な字数オーバーのためにアンソロ落ちしたものです。

     アンソロには悪人の男×善人の少年の物語を載せて頂いていますので、気になる方はそちらもよろしくお願いします。


     悪魔の瞳を持つ王女×王女の近衛騎士


     真実を語りましょう。
    この箱庭に囚われていた者のために。

     真白い月の光の下で、主である少女を亡くした女中と、少女を殺した国の若い兵が向かい合っていた。
     兵は問う。何故この国の王は狂ってしまったのか、と。
    女中はその問いに答えを返さなかった。代わりのように、兵に問い返す。何故それを知りたいのか、と。
    兵は答える。「悪魔の目を持つ王女」。彼女がその瞳を持って父である王を狂わせたと聞いていた。だが、果たしてそれは事実なのだろうか。処刑前に言葉を交わした王女からは、高潔さと清らかさを感じたが、悪魔などと呼ばれるような悪辣さは感じなかった。だからこそ知りたくなったのだ。王女は本当に、王を狂わせ隣国に戦を仕掛けたのかを。
     兵士の言葉に、女中は月を見上げる。その瞳に、何が写ったのはわからない。しばらく口を閉ざしていた女中が、やがて静かに口を開いた。そして、言ったのだ。

     ――「真実を、語りましょう。この薔薇園の主であった、悪魔の眼を持つ王女のことを。この箱庭に閉じ込められていたのは、誰であったのかを」

     そして王女と近衛騎士の物語が語られる。
    誰にも言えない秘密があった。
     誰にも言えない絶望があった。
    そして、誰にも言えない愛があった。
    お互いにすら、彼らは愛を囁かなかった。けれども確かに、その眼差しが、語尾の震えが、彼らの互いへの愛を告げていた。
    ただひたすらに、相手を深く想う愛であった。

     さあ、今ここに彼らの真実を語ろう。
    これは泣き喚きたくなるほど痛く、自分勝手なほど献身的で、それでいて静かで優しい激情を秘めた、愛の物語。

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