ゆらぎ
- 南1-2ホール | H-25 (小説|エンタメ・大衆小説)
- ゆらぎ
- 有兎有春
- 書籍|文庫判(A6)
- 86ページ
- 500円
- 2026/11/8(日)発行
- 高校一年生の芽衣には、仲の良い友達が二人いる。中学三年生の頃に勉強を教えたことをきっかけに親しくなった明香里と、その幼なじみの夏樹だ。高校でも三人は同じクラスになり、いつも一緒に過ごしている。
かつて、いじめられていた明香里を夏樹が助けたこともあり、芽衣には二人が何でも言い合える親友同士に見えた。そんな二人を微笑ましく思う一方、思ったことをすぐには言葉にできない芽衣は、自分には同じように話すことが出来ないと感じている。
ある日、芽衣はクラスの男子、栗原が明香里のことを「ブサイク過ぎて可哀想」と陰で言っていたことを知る。夏樹に話せば、きっと明香里のために行動するだろう。けれど、それによって明香里が陰口を知り、傷ついてしまうかもしれない。そう考えた芽衣は、二人には知らせず、自分で栗原を問いただし、もうその話をしないよう約束させる。
しかし、クラスの空気は変わらなかった。体育祭の練習でも、汗をかきやすい男子を露骨に嫌がる生徒や、それを面白がる生徒がいる。正義感が強いと思っていた夏樹ですら何も言わない。その空気に嫌気がさした芽衣は、体育の後、みんなとは反対方向に歩き出す。
そこで見つけたのは、グラウンドに寝そべって雲を眺める同級生、佐藤ゆらぎだった。
誘われるまま隣に寝そべり、一緒に空を見上げたことをきっかけに、二人で過ごす時間が増えていく。校舎の裏でお弁当を食べたり、放課後の空き教室で勉強したり。ゆらぎといると、何を話そうか考えておく必要も、言葉を整える必要もない。
そんな時間を重ねるうちに、芽衣はゆらぎを特別視するようになっていく。そして、ゆらぎといるときの自分が、夏樹や明香里といるときの自分。どちらも同じ自分のはずなのに、その違いを芽衣はまだうまく言葉にできずにいた。
