worldlines(ワールドラインズ)体験できる世界観のつくり方
- 南3-4ホール | ぬ-41〜42 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
- わーるどらいんず
- アメミヤユウ
- 書籍|新書判
- 369ページ
- 3,000円
- https://www.yuu-amemiya.com/w…
- 2026/9/9(水)発行
- 『ワールドラインズ 体験できる世界観のつくり方』は、タイトルの通り、「体験できる世界観」のつくり方を学ぶ本です。
では、「体験できる世界観」とは何か。
簡単に言えば、一人の頭の中にある世界観を、「世界そのもの」に変えることです。
誰かの頭の中にしかなかった妄想や物語を、複数の人が同じ時間、同じ場所で、五感を使って体験できるようにする。
いわば、頭の中の世界観を現実空間へ「領域展開」するようなものです。
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こう言うと、少し空想的で怪しく聞こえるかもしれません。
けれど、似たことはすでに自分たちの身の回りでたくさん行われています。
アートの世界なら「インスタレーション」。 エンターテインメントなら「イマーシブシアター」や「ARG」。
さらに広く見れば、祭りや寺社仏閣、スターバックスや蔦屋書店のような店舗、ブランディングされた駅や街にも、それぞれ固有の「体験できる世界観」があります。
たとえば、神社の例から紐解いてみましょう。
神社に入ると、普段は神道を強く意識していない人でも、自然と少し神聖な気持ちになり、手水で身を清め、お賽銭を入れ、決められた作法で祈ります。
これは「信じている人だけが行う行為」というより、空間や身体感覚、儀礼の積み重ねによって、その世界観へ入っていくよう設計されていると見ることもできます。
まず、参道を歩き、長い階段を上ることで、日常空間から神域へ移行する時間と身体的負荷が生まれます。
鳥居や参道も含め、これは人類学でいうリミナリティに近く、情報量が減衰し、身体負荷が増え、日常と非日常の境界を身体的に通過するデザインとなっています。
その先の手水では、穢れを清めるという設定と冷たい水に触れ、手と口を洗うという身体感覚が連結され、脳を新たな世界観のメガネに付け替えるリセットを行います。
またお賽銭はこの場に来るまでの時間的コストに加え金銭的なコストとなり、認知的不協和の低減(すでに投資した行為を無意味とは評価しにくくなる)や努力の正当化によって、参拝という行為の意味や価値が補強される余地が生まれます。
そのうえで二礼二拍手一礼などの正当な所作の示唆及び「縁結び」「商売繁盛」「学業成就」など、祈りと効能の対応関係まで明示されていることから、参拝者は低い認知コストで、その世界観を受け入れることができます。
その後、願いと対応する良い出来事が起これば、確証バイアスや錯誤相関、強化学習によって「正しく祈ったから、ご利益があった」という因果関係が補強され、世界モデルが安定します。(起こらなかったことは人間の習性として認知されません)
以上のようにして、日本人の多くが神道を意識的に信仰していないにもかかわらず、お参りをして神頼みとご利益の対応関係がある世界観を共有できている世界観設計を紐解くことができます。
これらは以下の4つの要素で「体験できる世界観」を構築していると言えます。
設定:御祭神やご利益、所作の意味性
環境:参道、手水、お賽銭、鈴、鏡、荘厳な境内等々
物語:神話や、参拝後の自身に起きる出来事
時間:身体的負荷による祓い→水による浄化→所作による世界観の書き換え
これらは全て関連し合い必要な流れ、相互作用により神社、神道という世界観を五感で体験させることに成功しています。
本書では上記の4つの要素を「四編(しへん)」と名付け、それぞれの要素をどのようにデザインするとどうなっていくか、
という対応関係やデザイン手法を、過去100以上の「体験できる世界観」をつくってきた具体的な事例と併せて紹介しています。
さらに空想的な設定を現実の世界として一時的に実装するために「七緯(しちい)」という7つの独自の工程を体系化し、
これを用いることでより現実社会と同等のクオリアを持つ「世界」の具現化が可能になります。
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ここまで見るとちょっと難解な本のようにも思えますが、本書では文中に12個の体験型のワークを挟んでいて、
1つ1つの手法や概念を、簡単なワークを通して実際に「体験」することができます!
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つまり本書は読むだけではなく、体験する本。
そしてその体験を重ねていくうちに、自分自身もあらゆる「体験」を創造する力が身についているという仕組みです。
ワーク以外にも、普通の本ではありえない、五感を刺激するさまざまな仕掛けを施していますので、ぜひ本書を手に取ってお楽しみください📖
