「運動版」は、全体版の重要な部分だけを抜き出した短縮版ではありません。
全体版では、問い、違和感、差異、組織、AI、他者、自分といった複数の場所を行き来しながら、認知の動きを細かく追っています。
運動版では、その細かな動きを減らす代わりに、本全体を一本の大きな運動として組み直しました。
答えを受け取る。
「なんか違う」と足が止まる。
その違和感を、すぐには消さない。
別の場所へ移してみる。
すると、最初に持っていた問いそのものが少し変わる。
同じ問いへ戻ったつもりでも、もう同じ場所にはいない。
そうした一連の動きを、ひとつの大きな軌道として読むための版です。
だから、ここでいう「運動」は、前へ進み続けることではありません。
すぐに答えを出さないこと。
違和感の前で立ち止まること。
一度決めた見方から、別の見方へ移れる余地を残すこと。
それらもまた、運動の一部です。
読み終わったあと、何かの答えを早く出せるようになるとは限りません。
むしろ、以前ならそのまま通り過ぎていた小さな違いに気づき、
すぐには答えられなくなる。
そんな変化を、一冊を通して大きく経験するための版です。