「あれは、鳥笛か」前方から何かが来る。とっさに屋根から電柱へと飛び移る。薄暗い電灯を避けるように身を隠し暗闇に目を凝らした。
飛ぶように迫って来た。頭巾で顔を隠した男で、夜目にも浮かび上がるような白い着物をはためかし、その口元には鳥笛が噛むように咥えられている。北風よりも冷たい空気を纏わせたそれはあっという間に過ぎ去り消えて行った。
僕は屋根に立った。耳を澄ます。遥か遠くで誰かが鳥笛を吹いている。先ほどの男ではないだろう、別の誰かだ。
「あれは、」一通の封筒が風に吹かれ降りてきた。
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