感音性中等度難聴。
わたしはそれを生まれもった。そのことを、ずっと人に打ち明けることができなかった学生時代と20代であった。
教員となり一児の母となり悩んでもがいて歩き続けて30代になって、すう、と息をついたとき、なんだか凪いだ場所にたどりついていた。もう隠すのはやめようか。
自身の難聴にまつわるできごとや感情を回想したエッセイ。
「わたしは難聴であることをもう欠陥だとは思わないし、誇りだとも思わない。
自分を否定し続けた過去はたしかにあっても、それを否定することはしない。
ただただ、そうである。それだけ。」(本文より)