体育祭に向けて行われる組体操の練習。夏の陽射しのもと、教師に監視され、土埃にまみれながら、私たちは黙々と指示に従って演技をする。その最中に私はふと、砂漠に散乱する、駱駝の白骨を思い浮べていた……。
表題作『夏の砂塵』のほか、インターネット時代の恋愛を描いた『病める蝶』、大学の奉仕活動部に属する学生が社会の矛盾と冷酷を垣間見た瞬間を描く『非協力者』、いつまで経っても身元不明のままの行旅死亡人の女性の人生に思いを馳せる刑事を主人公とした『名前の無い女』など、大学時代に発表された短篇小説の中から約半数の十作品を精選し、徹底的な加筆修正を加えて編んだ、著者の第一短篇集。