ドイツ三十年戦争:ある傭兵の日記
- 南1-2ホール | I-61〜62 (小説|海外文学・翻訳)
- どいつさんじゅうねんせんそうあるようへいのにっき
- ペーター・ハーゲンドルフ
- 書籍|A5
- 192ページ
- 3,000円
- https://poeta-laureatus.booth…
- 2026/10/20(火)発行
- 【25年間、22,400キロメートル、400カ所以上の街に及ぶ一介の傭兵の行軍記録】
※全3舗の詳細地図が付きます。
本書はペーター・ハーゲンドルフという人物が1625年から1649年に自ら経験した出来事を書き留めた記録である。その時期はドイツ社会に深甚な影響を及ぼした三十年戦争(1618年~1648年)の大部分に相当する。 この記録は1988年に歴史家のヤン・ペータースによってベルリン州立図書館の未整理稿の中から再発見された。手稿はおそらく192葉から構成されていたと考えられ、前方の13葉と後方の3葉が欠けている。したがって、現存しているのは176葉のみである。第1葉全体と第2葉の冒頭2行、そして第176葉の末尾4行は汚損が激しく判読困難であり、ペータースによる翻刻に含まれていない。 書き手の名はこの記録自体には残されていない。おそらく、散逸した箇所に記されていたと考えられる。ペータースが数々の記述から書き手はペーター・ハーゲンドルフという人物であると推測し、弟子のマルコ・フォン・ミュラーがそれを史料で裏付けた。記録の文体はラインラント方言の強い影響を受けているものの、話し言葉を単に書き留めたものではなく、明らかにある程度の教育を受けた書き手によるものである。 ハーゲンドルフが生きていた時代は、ヨーロッパ中の戦場で名を馳せたランツクネヒトが末期を迎えた時代であった。それはランツクネヒトが勇猛果敢かつ自由な傭兵という冒険心をくすぐる存在から下賎な兵士という存在に低落した時代に当たる。混迷をきわめた三十年戦争を1人の傭兵として生き抜いたハーゲンドルフからすると、戦争がなぜ起きているか、何のために戦っているのか、何が正しいかなどわからなかった。そもそも、そうしたことを知る必要さえなかった。傭兵として生計を立てていたハーゲンドルフは誰が敵であるか、誰が味方であるかさえわかればよかったからである。 ハーゲンドルフが残した記録を読んでも三十年戦争の全体像は掴めない。しかし、これは一介の傭兵によって書かれた三十年戦争の記録として貴重であり、ここに訳出する価値が十分にあることは論を俟たない。
「訳者による解説」より
